はじめに
一般社団法人みのりサポートから戸根が、第35回同志社大学社会福祉学会に参加してまいりました。大会テーマは「コロナ時代に社会福祉を改めて問う」と設定されました。
午前は自由研究発表と実践報告があり、午後の基調講演では「コロナ禍を世界史からとらえ直す」と題して小野塚知二教授(東京大学大学院経済学研究科教授)の基調講演がございました。
その後、「コロナ時代に社会福祉を改めて問う」という題でシンポジウムが開催されました。シンポジストは藤原久子さん(京都第一赤十字病院ソーシャルワーカー)、藤江冬人さん(門真市社会福祉協議会次長兼課長)、原田徹さん(社会福祉法人ライフサポート協会住吉総合福祉センター館長)です。
このような学会に参加し、多くの学びを得ました。扱うテーマも多岐に渡りますが、このセミナー参加報告では特に印象に残った藤江冬人さんのお話を簡潔にまとめたいと思います。
コロナ時代の社会福祉
門真市社協ではコロナ禍後、ホームページの「困りごと相談」欄の閲覧数が急増し、また「緊急小口貸付」の相談が過去平均の7倍以上になりました。
そして藤江さん曰く、注目すべきは高齢者だけでなく全年代に渡って借入申込者が存在したことです。また特に世帯に着目すると、高齢者世帯や外国籍世帯が多かったそうです。
また借入申込者の雇用形態は、世の中では安泰と言われている正規雇用の会社員が58パーセントも含まれていました。そして職種を分析すると、「飲食・調理」、「タクシー」、「建築業」が多数を占めます。
特に「タクシー」の働き手に関しては、年金を補う収入として労働していることが多く、藤江さんは日本の社会保障制度の不十分さを指摘しておりました。
このような発題を締めくくるにあたって藤江さんは「3伴対応」を提案いたします。それは「生活支援に係る伴走的な相談体制」、「地域福祉における伴奏的な活動支援」、「生活支援も社会福祉も伴に実現する」というものでした。貸付対応に終始せず生活支援にもつなげ、また地域福祉の他の団体と協力体制を作ることが必要ということです。
おわりに
藤江さんの報告を伺い、わたしたち一般社団法人みのりサポートも「コロナ禍における社会福祉と生活支援」への意識を高めました。特にコロナ禍において特に高齢者世帯が困窮に陥っていること、また年金の補填分の収入が途絶えて生活が安定しなくなったことを念頭に置かなければなりません。
時にそのような方は家賃が払えず困ったり、また住居の売却も検討して次に移住したりしないといけないでしょう。居住支援法人を目指すわたしたちは常にそのような方に対応できるよう体制を整える必要があります。
また貸付金を得てもそれを適切に管理把握して生活再建をしないといけません。高齢者で単身世帯ですと、時にお一人だけではスムーズにいかないこともあるでしょう。その時に私たちが力になれるよう、日頃から地域の社会福祉団体と連携することが大切です。
この同志社大学での学会で得たことはこれだけではありませんが、主に藤江さんのお話を紹介し、私たちの学びを記したということで、この学会報告は終えたいと思います。
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